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第5王朝(B.C.2498〜2345)


@ウセルカフ


   

在位B.C.2498〜2491。名前の意味は「魂の力強きもの」。第4王朝のジェドエフラー王の孫にあたる(ジェドエフラー王の王女ネフェルヘテプの息子)。サッカラにピラミッドを造ったが、この王朝のピラミッドはギザのような大規模なものではない。また、ギザの南のアブ・グラブに太陽神殿を建設、太陽信仰に重点をおいた。





Aサフラー




在位B.C.2491〜B.C.2477。名前の意味は「ラーの側にあるもの」。ギザの南のアブシールにピラミッドを造った。






Bネフェルイルカラー


即位名:ネフェルイルカラー



誕生名:カカイ


在位B.C.2477〜2467。即位名の意味は「美しきものはラーの魂」。サフラー王と同様にアブシールにピラミッドを造った。





Cシェプセスカラー




在位B.C.2467〜2460。名前の意味は「高貴なるものはラーの魂」。ピラミッドなどは見つかっていない。





Dネフェルエフラー




在位B.C.2460〜2453。名前の意味は「美しきものはラー」。アブシールにピラミッドを造った。





Eニウセルラー


即位名:ニウセルラー



誕生名:イニ


在位B.C.2453〜2422。即位名の意味は「ラーの力を備えしもの」。アブシールにピラミッドを造った。





Fメンカウホル


即位名:メンカウホル 



誕生名:カイウ


在位B.C.2422〜2414。即位名の意味は「ラーの魂はみな永遠なり」。ピラミッドなどは見つかっていない。





Gジェドカラー


即位名:ジェドカラー



誕生名:イセシ

在位B.C.2414〜2375。即位名の意味は「ラーの魂は不滅なり」。サッカラにピラミッドを造った。この王に仕えた宰相プタハヘテプの文書が残っている(原本ではなく後世の写本がいくつか残っており、最古のものは中王国時代の写本)。「宰相プタハヘテプの教訓」という、宮中での処世術を自分の子供に伝えたもの。内容は現在にも通じるものもあり、興味深い。

宰相プタハヘテプの教訓

まえがき

上下エジプトの王イセシ陛下の世に、世襲貴族であり神官、大法廷の法官、首都の長及び宰相を務めるプタハヘテプの教訓

陛下に申し上げます。「私は老齢に達し身体のあちこちに故障をかかえているため、我が任務を息子に譲りたいと思います。そのため、私の知性の全てを息子に伝えるために教訓を書き残す許可を下さい。」すると王は言われた。「そなたが職を辞するに先立ち息子に全てを伝えれば、優秀で従順な家臣として他の者の模範となるであろう。彼に全てを語りなさい。」

これから記す教訓は耳を傾けるものに利益を、耳を傾けないものには不利益をもたらすものである。
  1. 知識があるからといって傲慢になってはいけない。学のみを頼みにせず、学のない者にも相談しなさい。会話によって得られるものは宝石よりも貴重であり、下女からも得られる可能性がある。
  2. 自分より優れた者が論争を仕掛けてくる場合は、彼に逆らわず、好機が来るのを待つこと。
  3. 自分と同等な者が論争を仕掛けてくる場合、その彼が悪い言葉を使う場合は、沈黙することで自分の優位性を際立たせなさい。
  4. 自分より劣った者が論争を仕掛けてくる場合は、彼を激しく攻撃しないこと。自ら罰しなくてもいずれ彼は罰せられる。
  5. 人の上に立つ指導者の立場となったなら、あらゆる行いをマアト(正義)に従って行うこと。マアトこそ偉大、永遠かつ有能なものである。
  6. 民衆に対して策謀を行ってはいけない。そのようなことをすれば必ず神の報いを受ける。
  7. 偉大な人と食卓を共にした場合、彼の出すものは何でも受け取ること。彼をじろじろと見ないこと。彼が話しかけるまでは話さないこと。彼が笑ってから笑うこと。彼の機嫌を損なわないように注意すること。
  8. ある大官の使いとして別の大官を尋ねる場合、彼(依頼主)の信頼を損なわないよう心して振舞うこと。用件を確実に伝えること。大官同士を仲違いさせるようなことは決して言わないこと。大官に限らず誰に対しても中傷はしてはいけない。
  9. 自分の財産や幸福を自慢してはいけない。隣人の前では口を慎むこと。財の無い者、悲しみを抱く者は多い。
  10. 富も地位もひとりでにやってくるものではなく、神によって優れた人物に与えられるものである。かつて身分の低い者であったとしても、その過去の故に軽蔑することはせず、富に見合った尊敬を以って接しなさい。
  11. 時を浪費するな。家計に心を配りなさい。理性に従いなさい。
  12. あなたの正しい教えに従う子供にはあらゆる権益を残し、教えに背く子供には何の財産も残すな。彼はあなたの子供ではない。
  13. 王に謁見する際、その控の間では指示があるまで入室しないこと。厳格な規則に従うこと。
  14. あなたを支持する者の中から信頼出来る人物を選び腹心としなさい。優秀な部下を育てることは結果的に名声を高めることになる。
  15. 主人から相談を受けたら、自分の意見を表明しなさい。
  16. 指導者として崇高な命令を与えなさい。
  17. 請願者の言葉は最後まできちんと聞きなさい。彼らはその希望が実現出来なくても話を聞いてもらうだけで心の慰めとなる。
  18. 親交を続けたいと思う友人の妻には近づかないこと。
  19. 貪欲は不治の病であり、不幸を招くものである。マアトに正しく仕えることで人は幸福になれる。
  20. 遺産の分配においては、自分の取り分以上のものを望まないこと。
  21. 妻を愛し、大切に養いなさい。妻は夫にとって実り豊かな畑である。
  22. 側近、部下を満足させなさい。苦境で頼れるのは側近である
  23. 人を中傷する言葉を言ったり聞いたりしてはいけない。
  24. 会議の席では、きちんと説明出来る内容に限って発言しなさい。会議で発言することは大変難しい仕事である。
  25. 有力者となったら、学識と穏やかな言葉で尊敬を得るようにし、気ままに命令してはいけない。カッとなって怒りの言葉を吐くようなことはせずに、理性に従って自制しなさい。
  26. 権力者には逆らわないこと。
  27. 主人にとって有用なことを考え、適切な助言をすること。そうすれば彼があなたを守ってくれる。
  28. 裁判官となったら裁判の公正性を守り、一方に偏ることのないようにしなさい。
  29. 正しい人を裁くな。無実の者を罰することは、その者を反逆者とさせる。
  30. 富を頼みにするな。
  31. 上司に対しては腰を低く接しなさい。自分を信頼してくれている上司を裏切る者は、彼によって苦境に追い込まれる。
  32. まだ成人していない子供と寝所を共にしてはいけない。
  33. 考えが対立する友人とも分別を持って付き合い続けること。彼を非難したり敵意を持って接してはいけない。会話をすることで彼を試しなさい。彼から遠ざかってはいけない。
  34. 惜しみなく施しをしなさい。空腹の者は攻撃者になり得る。親切にすることであなたは後々彼らにとってのよき思い出となる。
  35. 友人達の前で不機嫌な態度をとらないこと。あなたにとって友人達は大変貴重な存在である。
  36. 悪行には適切に厳罰を与えなさい。
  37. 町のみんなによく知られた明るくて気立てのよい女を妻としなさい。この性格が変わらない限り離婚をしてはいけない。
結び
この父の教訓に従うならば全てにおいて失敗することはない。あなたが王の寵愛を得て務めを果たし、いつか私のもとに到達することを願う。


BC.1950年頃のパピルス(写本)
 






Hウナス



在位B.C.2375〜2345。第5王朝最後の王。サッカラに造ったピラミッドの内部の壁面にギッシリと書かれた文章(ピラミッド・テキスト)で有名。死者の魂を来世へ導く呪文のような内容で、この後第6王朝の王達もこの様式を踏襲した。中王国時代には棺に記し(コフィン・テキスト)、新王国時代にはパピルスに記す(死者の書)ようになった。